認知の仕方の男女の違い

人間の認知の仕方と言われて、普段はなかなかイメージしにくいかもしれません。しかし、たとえば写真を撮るときの考え方がその一例です。中心となる人物にフォーカスしてから背景を決めるやり方と、まず背景を選び、そこに人物を配置して写真を撮る方法があります。これは異文化研究でよく挙げられる認知の仕方の違いを示す事例です。言い換えると、「中心から外側へ」と考える人と、「全体から中心へ」と捉える人がいる、ということです。

一般的に日本の文化では、「全体から中心へ」という認知が根付いています。物事を説明するときも、全体の流れを話してから細部に移るという展開がなじみやすい傾向にあります。一方、西欧では「中心から外側へ」という思考が主流です。そのため、会議の場などで話の進め方が合わず、すれ違いが生じることも少なくありません。

また、男女による認知の違いも指摘されています。現在はこうした話題がハラスメントや差別と受け取られることもありますが、私が研究していた20年前は、今ほど厳しい雰囲気ではありませんでした。たとえば女性の場合、出産という大きな人生のイベントを経験するため、本能的にも「子どもを守る」資質が備わっていると考えられています。

そのため、物事の認知も「手元の自分の子どもから外側へ」という傾向があると言われています。一方、男性は外部からの脅威を防ぎ、家族を守る役割から、「遠くから近くへ」と物事を認知する傾向が一般的だとされています。

ある著名な女性の先生が講演会で述べていたのは、女性にとって「自分」という言葉がとても重要だということです。セミナーや講演会のタイトルに「自分」という言葉を入れると、女性の参加率が高くなるとも話していました。実際、毎日鏡で自分の顔を見てお化粧をするし、美容への関心は年齢を重ねても変わらない方が多く、それだけ「自分」への興味が強いことがわかります。

こういった違いは、「男性は地図や図表など全体を把握するのが得意」「女性は空間認識が苦手で地図が読めない」といった話とも関連しています。これらの傾向は、人間の生存本能に由来している面もあるのではないでしょうか。

ここで、20年前に私が読書ノートにメモした川崎貴子さんの『上司の頭は丸見え』という本について紹介します。

川崎貴子「上司の頭は丸見え」本より
⇒女性にとって人間関係は「共感」が基本です。
そのため「上司の言うことが聞けないのか」「社長の言うことが聞けないのか」といった「共感できない」叱り方は効果がありません。普段あまり話したことがない人から、一方的に指示や注意を受けても、なかなか心に響きません。
⇒そもそも、女性は社長や重役を目指して会社に入る人が少なく、それよりもっと自分の能力向上を優先する傾向にあります。
⇒男性は「結果」を評価されると達成感を得ますが、女性は「結果」ではなく「過程(プロセス)」を細かく評価されることで満足感を得ます。
⇒男性は「縦社会」で力を発揮し、女性は「横社会」で力を発揮しやすいと言われています。
⇒女性が大声で叱られると、まず「防御」の心が働き、考えることをやめてしまうことがあります。
⇒女性が仕事を任された時に「何かイヤ」と感じている場合、その「何か」を徹底的に聞き出すことが重要です。男性が気づかない問題点を女性が感じ取っている可能性があるからです。うまく言葉にできないことでも、何らかの理由があるはずです。
⇒女性がマナー研修を受けると、単にマナーが身につくだけでなく、積極性や自信を持てて自己肯定感が高まります。
⇒女性への「エコヒイキ(特別扱い)」は厳禁です。女性の横のつながりネットワークで、そうしたことはすぐに広まってしまいます。

いかがでしょうか。思い当たるところはありませんか。