AIの流行に対して冷静に

今、さまざまなSNSでAIの話題が盛り上がっています。AIにもいろいろな種類があるようですね。それぞれに特徴があり、進化の速さには本当に驚かされます。実際、私も何かを調べるときにAIを使うことがあります。

例えば、スポーツジムの会費や手続きについて質問すると、わざわざそのジムのホームページを見なくても、AIが調べて答えてくれます。また、税金計算も想定される所得や条件をAIからの質問に対して回答していくことで、わざわざ調べなくても税金計算をしてくれます。とても便利なものです。

ただ、こうしたAIを使っていると、いくつかの傾向があることに気がつきます。それは、同じ質問でも表現が少し違うだけで回答が変わる場合があることや、質問者をやたらと褒めてくることです。

前者はハルシネーションと呼ばれているものです。これは、同じ質問(プロンプト)であっても、入力のタイミングや使うモデルによって毎回違う回答になる現象や、出力に揺らぎがあるのです。

後者の寄り添いに関する特徴は、AIはユーザーの意見や愚痴に同調し、何でも肯定的に返答したり、人間の友人や専門家のように苦言や反対意見を呈することがないことです。これは、ユーザーに好まれて継続利用してもらうため、また不快感を与えないように設計されているからです。

たとえば、「老後資金について具体的に考えることは素晴らしいことです」とか、「健康管理への意識が高くて素晴らしいです」といったフレーズを最初に入れてくることがあります。

人は誰でも、褒められると悪い気はしません。これらはIT企業の戦略で継続的に自社のAIを利用してもらおうとしているのです。

特に困るのは社長さんです。

「他社から聞いたが、AIでできることが当社にもたくさんある。あんなに便利なものはない、来月から始めよう」と言い出したり、マスコミにまんまとあおられて「これからはAIだ」となったりします。

皆さんは、一昔前にIoTが流行したことを覚えていますか。今では、あまり聞かなくなりつつあります。もちろん、企業が製品にセンサーや通信デバイスを組み込み、不足している燃料や異常を検知して知らせる仕組みは、今も活用されています。いまや冷蔵庫にもセンサーが付いていますね。

こうした流行は、IT企業の売り込みとも関係しています。そのため、流行に踊らされないようにしなければなりません。

会社のIT部門にとって重要な業務は、現状のAS-ISの業務フローを常に最新の状態に保ち、どこに改善点があるかの現状を把握することです。そして、その改善を実現するために、TO-BEの業務フローについても普段から検討しておくことです。

つまり、会社には予算があるため、すべての業務を次々に改善・投資するわけにはいきません。合理的に考えれば、ある程度改善点が見えてきた段階で、全体最適の観点から優先順位を付けて改善していくのです。

こうした活動を続けていれば、すぐに流行へ飛びつくことはないでしょう。もちろん、新しい技術を研究することは必要です。しかし、短絡的に「明日からAIだ!」と考えると、無駄な投資につながる可能性があり危険です。