チャットやリモート会議の良し悪し

◾️チャットは情報が断片的に
オフィス365の普及にともなって、チャットによるコミュニケーションが増えています。オフィス365では、シェアポイントにファイルやデータを保存し、そのURLをチャットで共有することができます。メールのようにファイルを添付する必要がなく、セキュリティ面でも安全性が高いのが特徴です。

また、ファイルやデータをフォルダ内にまとめて整理しておくことで、必要な資料にもすぐアクセスできます。チャットの特徴として、やりとりに即時性があるため、迅速にコミュニケーションできる点も便利です。しかし、その一方で、チャットは情報が断片的になりやすく、まとまった情報を探すのに時間がかかることがあります。「確かに以前話したはずだけど…」と、チャット内で過去のやりとりを探し回ることもしばしばです。

こうした課題への対策として、ある程度まとまった情報が集まったタイミングで、グループ内の週次定例会議などでトピックスをスライドにまとめて確認することです。使用したスライドは、チャンネル内のフォルダに保存しておくと後から探すときに便利です。また、作成されたスライドはプロジェクト会議や他の報告会で流用することができます。会議の都度に資料を作成する必要はありません。こうして、ほんのひと手間を加えることで、情報が探しやすくなり、グループ内のコミュニケーションも改善するのです。

◾️リモート会議
リモート会議は、会議室の準備が不要で、また、参加者にとって移動も不要になるのでとても便利です。参加者の空き時間をOUTLOOKで探して、インビテーションを送るだけです。

ただし、私の経験では、日本の多くの企業では自分の顔を映さずに参加する場合が多いようです。以前勤めていた外資系企業では、必ず顔を映して会議を行っていました。相手の表情を見ながら会話を進めることで、意図が伝わりやすくなります。

表情が見えない場合、特に日本語ではコンテクスト(文脈)が伝わりにくくなり、自分の意図が十分に伝わらないことがありますので注意が必要です。日本語には、文字だけでは伝わらないニュアンスや解釈の違いがあります。

例えば、短い返事で「わかりました」と言われても、表情が見えないと本当に理解しているのか、それとも単に返事をしているだけなのか判断しにくい場合があります。この点は、表情が読み取れない場合、リモート会議でのデメリットです。

一方で、対面の会議は会議室の準備や参加のための手間がかかりますが、大切なコミュニケーション手段です。対面では、事前に日時や場所、参加者を相手に伝える必要があります。また、会議で話し合う内容についても、前もって共有しておくための準備が必要です。

対面での会議では、相手の表情を見ながら口頭で直接やりとりができるため、相互のコミュニケーションがスムーズになります。さらに、資料やプレゼンテーションを活用することで、よりわかりやすく伝えることができます。

日本語特有のコンテクスト、つまり行間や空気を読み取れるのが対面の会議の強みなのです。表情が見えないリモート会議や、メール、チャットでのやりとりでは伝わらない細かなニュアンスも、対面ならしっかり伝わるのです。


◾️使い分ける判断
チャットでのショートメッセージ、従来からあるEメール、リモート会議、対面での会議とコミュニケーションのチャンネルはいくつかあります。伝える内容によって、どのチャンネルを使うのか、即時に判断する必要があります。

単なる確認や案内等はチャットでも済ませることができます。また、連絡事項や情報共有については、リモート会議で開催して時間の節約をすることができます。企画会議や計画を立てるときの相談等は、相手の表情やリアクションを見ることができるので対面会議が良いでしょう。

その他に、携帯電話での会話、オフィスでの立ち話など様々なコミニケーションが私たちの周りに存在しています。これらのチャンネルをどのように生かすかは、伝える内容や聞き取る話によって意識して判断しなければなりません。

目的は、違った空間で、そして、違った時間軸で存在している様々な情報を、特定の時点で集めて、自分で必要な情報、不要な情報を判断し、必要な情報のうち、重要な情報に優先順位をつけてアクションプランに結びつけることです。